江戸時代、「初物を食うと七五日長生きする」といわれ、見栄っ張りの江戸っ子たちは、初物の食材をあらそって購入しました。それにくらべて、今の時代はハウス栽培や養殖、冷凍技術が発達して、年中「旬?」の食材が手に入るようになりました。
“今が旬”と呼ばれる食べ物には、夏なら体を冷やし、冬なら温めるといったように、人間の体にうまく働きかけてくれるものがたくさんあります。また“旬”の食材を使うと、美味しさも格別ですし、栄養価も高くなります。
そして経済的でもあります。本来の収穫時季にとれたものを食べるのは、体調を整えるためにも大切なことで、逆に季節外れのものを食べると、体を冷やし過ぎたりして体調を崩す元になります。
漢方では“旬”とは、美味しさ、栄養価のほかにもう一つ、その食材が『氣』を一番多く含んでいる時季と考えます。目には見えない電気のような生命エネルギーが『氣』。
現代栄養学のベースとなっている、カロリーとは異なる次元のもので、人が生きて行くうえで欠かせないものです。
『氣』が不足すると、“元気がない”、“根気がない、“気力がない”状態となり、その状態が長引くと「病気」になります。別の見方をすれば、カロリーが肉体を養うエネルギー源に対し、『氣』は魂を養うエネルギー源ともいえます。今の食はカロリーに片寄りすぎて、『氣』が大変不足しています。