漢方ではすべての食べ物、そして薬草の性質(生で食べた時、人の体にどのように影響するか)を「陰=冷やす」、「陽=温める」、「平=どちらでもない」の三つに分けます(厳密には、寒・涼・平・温・熱の五つ)。
冷蔵庫や冷房がない時代は、陰性の食べ物を適度に摂って、暑い夏を上手に過ごしてきました。陰性食物の代表選手がゴーヤ。沖縄のオバアが元気で長生きなのは、ゴーヤをよく食べるからです。ゴーヤ(ニガウリ)のように、暑い夏の季節に地上よりまっすぐ上に伸びて、早く育つもの、また水分が多くて早く煮えるものの多くは陰性です。トマト、キュウリ、ナス、サトウキビ(砂糖)、麦(パン・うどん・パスタ)、そば、タケノコ、ピーマン、セロリ、アスパラ、カイワレ、もやしなどは陰性なので、体を冷やします。もちろん、冷蔵庫で冷やしていなくても。
そのほかに南国地方で採れる果物(バナナ、パイナップル、マンゴー、キーウィなど)や乳製品(牛乳、ヨーグルト)、コーヒー、海藻類、貝類、豚肉、ビール、豆腐、コンニャク、寒天、生魚なども陰性です。そして究極の陰性食品が、多くの食品添加物。
今どきの多くの人は、陰性食物にかたよった食事内容になっています。さらに冷蔵庫で冷やして陰性を強めて、体内をどんどん冷やし、夏場は冷房で外からもドンドン冷やす。これではさすがの体も寒さで凍てつき、体温は低下して(平熱が36度以下)免疫力もダウンします。