虫歯や歯周病で歯が痛くなった時は、歯医者さんで治療してもらうのは当然のことです。
しかし、たびたび歯のトラブルが生じる方は、単に歯だけの問題としてではなく、それまでの食事も含めた生活習慣や、持って生まれた体質を見直し、改善することでトラブルの発生を減らすことが可能となります。その一手段として漢方薬が大いに役立ってくれるでしょう。
『疲れると歯が浮く』などと言われますが、一日中パソコンに向かっていたり、冷房のよく効いた部屋にいると足元が冷えて血液が上半身、特に肩から上にだぶついてきます。
肩がよく凝る方は歯茎(はぐき)もある意味凝りやすいのです。血液は少しでも流れが悪くなると痛みを生じると、漢方では考えます。肩が凝って歯が浮きやすい方は、普段から『葛根湯:カッコントウ』を常用するとよいでしょう。
葛根湯はかぜ薬として有名ですが、肩こりにもよく使います。背中から肩の血行をよくして、中からほぐしてくれます。女性の方の冷えのぼせには『桂枝茯苓丸:ケイシブクリョウガン』がおすすめです。
足元は冷えるけど、顔はほてりやすいため歯のトラブルの温床となりやすい体質です。
歯肉炎や歯槽膿漏など歯茎が化膿しやすい方には、『排膿散:ハイノウサン』。化膿を早く和らげてくれます。
歯痛や抜歯後の痛みには、『立効散:リッコウサン』。胃が弱くて通常の鎮痛剤が苦手な方におすすめです。
ストレスや緊張から生じる歯痛には、『四逆散:シギャクサン』。ストレスを強く感じていると肩に常時力が入ってしまい、血行不良となって歯のトラブルを生じます。
額関節症の方の多くはストレスが関係しています。心のケアも時には必要となります。