「バランスのとれた食事を摂りましょう」とよくいわれますが、何をもってバランスというのか。
1日30品目の食材を食べればバランスは満たされると思いますか?
たとえば、お米は一般的に白米として食されます。白米はモミガラをとり、胚芽とぬかを取り除いたもの。
精製していく過程で、タンパク質、炭水化物、脂肪、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンEといった栄養素が取り除かれてしまいます。
せっかくバランスのとれた作物を、あえて美味しさのためにアンバランスな状態にして食べています。
お米だけではありません。野菜なら皮をむき、根菜であれば葉の部分を捨て、穀物や油も精白・精製して食べています。
作物は自然のままで丸ごといただいてこそバランスがとれているのに、美味しさや手間の都合で加工すればその時点でアンバランスな状態になります。
そのような食材をいくら多く摂ってもバランスをとることはできません。
漢方で考える食のバランスのひとつが、自然のままの状態の作物を丸ごと(一物全体)でいただくことです。玄米は水につけておけば、発芽します。すべての栄養素が満たされているからこそ、生命の力=氣が発現できるわけです。大根やニンジンなどの野菜の皮の下には多くのミネラルやビタミンが含まれています。現代栄養学でもまだまだ解明されていない栄養素はいっぱいあります。それをはぎ取って食べることは、アンバランスな食事の第一歩を犯しているわけです。ただし、農薬をバンバン使って栽培している作物は、やっぱり皮をむかなければ危険です。