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新世紀通信No23【労働】

23年11月09日

日本の労働人口は急速に減少しています。さまざまな要因がありますが、少子高齢化が一気に進み、さらに引きこもりやうつ病を患う人の増加、そしてフリーターが増加して定職に就かない人が多くなっているためです。このような状態はさらに進み、さまざまな業種で人手不足が深刻化していくのです。

 

すでに、バスの運転手やタクシードライバーが不足して路線を取りやめたり、夜間の運転を停止しているところが出てきているのです。介護業界は慢性的な人手不足となり、サービスを減らしています。ホテルや旅館も宿泊客を減らしたり、飲食店は廃業するところも出ています。農家も収穫期に人が集まらず、せっかくできた野菜などを廃棄するところも出ているのです。また、人手不足によって、現在働いている人たちにかなりのしわ寄せが重なって、体をこわしたり、精神的に病んでしまって長期に休んだり、やめてしまうのです。まさに負のスパイラルに陥っているのです。このような状態が続いていくと、経済は麻痺してしまうのです。

 

生活に不可欠な物を作り出す業種や、経済を支えていく業種にちゃんと労働者が集まるような仕組みを作らなければなりません。しかし、今の政治や法律でこのようなことはできないでしょう。であるなら、本当に人材を必要とする企業や業種は、真剣に人を育てることを考えなければなりません。戦後の日本は企業が人を育ててきたので、愛社精神も育てられ、終身雇用制がしっかりと守られていました。そのため、よほどでない限り転職することはありませんでした。しかし、今は転職することが当たり前のような風潮になっています。一部の人にはいいかもしれませんが、大半の人はいいように使われて必要がなくなれば首を切られるだけなのです。そのことを知らずに転職サイトをばかりを見て、転々と替えていくうちに落ちぶれていくのです。

 

ある程度、どのような仕事をしていくかを決めたら、少なくとも3年や5年は同じところで働いて、それなりの技術や能力を身につけなければなりません。そのためには、高校生の頃からしっかりとどのような仕事に就くのかを考えておかなければならないのです。大学を出れば仕事にありつける時代は終わったのです。もちろん、選ばなければいくらでも仕事はありますが、生涯続けられる仕事をしっかりと考えなければならないのです。今の若い人たちは、目先のことだけを考える風潮があります。今さえよければいいとか、自分の時間を大切にしたいとか、仕事はあくまでもお金を稼ぐための手段にすぎないと考えている人が多いのです。そのような考えでは、どんな仕事も長続きはしないのです。そのため、フリーターになったり、アルバイトですませてしまうのです。中学や高校の時から、社会に出たらどんな仕事をするのかを、じっくり考えておくことが必要なのです。

 

そのためには、中学や高校の時に、さまざまな仕事を見学したり、体験することが必要なのです。いわゆる職場体験を積極的に行って行く必要があるのです。できたら、地場産業や地域の特産品を作っているところや、伝統工芸品を作っているところを重点的に体験していくのです。そのことで、地域に人が根付いていくことにもなるのです。すでにやっているところもありますが、もっと積極的にやっていくのです。
現在、日本の労働者は特定の業種に偏っています。飲食産業や観光産業、アパレル業界やタレント業界、さらには医療業界やスポーツ産業などに。どの産業も過剰な状態にあるのです。さらに、娯楽産業や風俗産業もそろそろ淘汰されなければなりません。これらの業界に従事している人たちが、農業や林業などの一次産業に従事していけば、労働者不足はかなり改善されていくのです。さらに、中学生や高校生は授業の一貫として、農業や林業、さらには介護福祉などに参加していくことでも、不足は改善されていくのです。スポーツに費やす労力を一次産業や福祉事業に当てていくのです。スポーツでは食べていくことができない時代になってきたのです。あくまで、趣味の世界でやっていくのです。

 

日本の労働人口はますます減少していきます。そのようなことは20年も前からわかっていたのですが、政府はなんら抜本的な政策を取ってこなかったのです。ここに来てあわてて「こども家庭庁」なるものを立ち上げましたが、20年遅いのです。すでに時機を逸しているのです。そのような政府ではこれからの労働者不足を補うことは、到底ムリなのです。外国人労働者をいくら入れても、焼け石に水なのです。円安によってこれからは外国人労働者は確実に減少していくでしょう。であれば、引きこもりやうつ病などの人をいかに働くことができるようにさせていくかを考えなければならないのです。職業訓練学校を充実させたり、メンタルケアの拡充が必要なのです。もっとその前に必要なのが、小学生や中学生の不登校に対するケアに力を注ぐべきなのです。そのためには、もっと教育に国が真剣に取り組んでいかなければいけないのです。少人数制の学級にしたり、生活困窮している家庭の児童に手厚い補助をしたり、スクールカウンセラーをもっと充実させないといけないのです。

 

10年、20年、30年先を見越した政策を実施していかなければならないのです。残念ながら、今の日本の政治家にはそれをする能力はないのです。これからの日本を築いていく子どもたちを、いかに育てていくかが大きな課題となるのです。そのためには、地域で子どもたちを育てていくしかないのです。特に、一線を退いた各種の職人や技術者、農家や漁師、さらには伝統工芸家などが中学生や高校生を積極的に指導していくのです。学校と連携して、授業の一貫として行っていくのです。このようなことは個人ではできないので、市町村が教育委員会と検討して、おしすすめていくのです。特に、過疎地域や少子高齢化が進んでいる市町村で、積極的に行っていくのです。少しでも体験してもらうことで、働くことの楽しさを体感してもらうのです。

 

国は外国人労働者の受け入れを積極的に拡大しようとしていますが、すでにお伝えしたように、円安によって日本で働く魅力は低下し、外国人労働者は減るばかりです。彼らに頼るのではなく、引きこもっている人たちをいかに就労させるかを、もっと積極的に取り組むべきなのです。そのためには、一人一人に寄り添ったきめ細かい支援が必要なのです。その人の置かれている環境や家庭事情をしっかりと考慮して、その人に合った仕事を探し出していく専門のカウンセラーが必要なのです。すでにそのような人はいるのですが、絶対的な数が少なく、十分な報酬が出されていないのです。このような事業は、国が積極的に取り組まなければならないのですが、やはり期待できなのです。であれば、地域で取り組むしかないのです。ある程度の研修を受けた人が、引きこもっている人を丹念に訪ねて心を開いてもらい、働くことへの意欲を持ってもらうようにするのです。ある意味での民生委員のような役割なのですが、就労支援の一環として市町村が積極的に介入していくのです。どこまでやっていくかが今、問われているのです。

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