15年ほど前から「うつは心の風邪」と言われるようになり、早めに病院で受診して治しましょうという風潮になってきました。
しかし、この15年ほどでうつ病の患者さんは2倍以上に増えているのが現実です。薬だけで簡単に治らないのが「心の風邪」。
元気、根気、正気、覇気など私たちがふだん口にする『氣』。
それは目にすることはできませんが、漢方では確実に存在するものと考えています。
『氣』とは、体内にみなぎるエネルギーそのもの。よくいわれる「病は氣から」とは、ストレスや老化、過労などによって氣の流れが渋滞したり、氣自体が不足することで病が生じることを表しています。特にうつ病や不安神経症、パニック症などの心の病は、氣の流れの滞りや(気が滅入る、気が沈む)、量の不足(気力がない)が関係しています。
数ある生薬のなかで、氣のめぐりをスムーズにさせる代表的な生薬がジャコウ(麝香)。
ジャコウジカの雄のお腹にある袋の分泌物を乾燥したジャコウは、古来、全身の氣のめぐりを改善し、病を防ぐ高貴薬として用いられてきました。
またジャコウは別名ムスクと呼ばれ、香水などの香料としても使われています。
そのすぐれた効能は、ストレス社会においてなくてはならないものでしょう。
また、氣は電気と同じように絶えず消費されるので、補充が必要です。
その補充の大元が食べ物(旬の食材に氣が一番多く含まれています)です。
しかし、強いトレスを受けると胃などの消化器系の機能はダウンし、食欲は減退、消化吸収力も低下して氣の絶対量が減ってきます。そんな時は、朝鮮人参をはじめとした生薬で胃腸機能を高めて氣の量を増やすことが必要です。