漢方では感情は、各臓器がコントロールしていると考えます。
怒りは肝、喜びは心、思いは脾、憂いや悲しみは肺、恐れは腎が、それぞれに調節しています。
それぞれの感情が強すぎると、その臓器の働きは乱れてしまいます。
逆に臓器の働きが乱れると、その臓器の感情が不安定になるのです。
感情の中でも一番力が強いのが怒りです。怒りはすべての感情の動きを止めてしまいます。
そのため、激怒すると人は理性を失うのです。理性を失った人は人ではなく、野獣と化すのです。
それほど怒りの感情は強い力を出すのです。マイナスに。
漢方では肝の働きを調えることで、人間らしさを安定させることができると考えます。
肝の働きが安定すれば、怒りにくくなるのです。
むかしから「肝(きも)がすわる」と言います。肝が安定すると、多少のことには動じないのです。
そして肝の働きを安定させる漢方薬が「複方霊黄参丸:ふくほうれいおうさんがん」。
ストレスが多い現代社会では、心をいかに安定させるかが、とても大切です。
漢方では肝を安定させるために、漢方薬以外にもいろいろな方法を使います。
たとえば食べ物です。酸味は肝の働きを安定化します。
イライラしやすい人は、お酢や梅干、柑橘類を積極的に摂るとよいでしょう。
また怒りがある時は、辛い物を食べるとよいでしょう。頭にのぼった血を汗で発散させてくれます。
また肝の働きをよくするために、シジミやアサリなどの貝類を日常的に摂るとよいでしょう。
人として人らしくあるためには、心がいつもおだやかでなければなりません。
そのためには肝をいつも安定させることです。
イライラしたり、すぐにカッとしたりするのは、肝の働きが乱れているためだと認識することが大切です。
漢方薬や食養生で早め早めに対応していくとよいでしょう。